蜜色オフィス


そのまま作業を続ける事、5分。
一応頼まれたデータ入力が終わって、それを添付したメールを、頼んできた営業係りに送って終了。

ふぅ、と息をつきながら、パソコンを閉じる。

19時27分。

あんまり遅い時間にお邪魔しても明日の仕事もあるし……。
日を改めた方がいいかな、なんて考えながら帰宅準備をしていると、キって小さな音を立てて、ほぼ正面にあるドアが開いた。

二課に残ってる社員は、私と宮坂だけ。
だから、当然、宮坂の姿を想像して顔を上げたんだけど……。


「……」


私の目が、とんでもない人物を映して脳に伝達する。
多分、数秒間見てたと思う。

何も言わずにただ見てると、その人物はにこりって笑った。
その顔にハっとして、勢いよく立ち上がる。


「しっ、しゃ、社長っ!」


ガタンって、後ろで椅子が倒れたけど、そんなの気にもならなかった。
だって……、なんで社長がこんなところに……?!


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