蜜色オフィス


そんな意味を込めてじっと見ている私に、宮坂は“何言ってんだ”みたいな顔して、眉間にシワを寄せる。

なんとか、社長に敬意を!って事を宮坂に伝えたいけど……、目力だけじゃどうにも伝わらないみたいだった。

けど、社長の前でそれを言葉にするのもどうかと思うし……。

どうすれば……っ。

頭を抱えたい気持ちになりながら視線を落としていると、ツカツカ歩き出した宮坂が社長の後ろを通って自分の席に座った。

……いや、だから。
社長がいるのに座るとか……。


「じゃあ私はこれで失礼するよ」
「え……っ、あ、はい!
お疲れ様でした!」
「お疲れ様でした」


私がガバっと頭を下げたのに対して、宮坂は座ったまま頭も下げないし!
けど社長はそれを注意するでもなく、むしろ笑顔で楽しそうに「じゃあまた」って部屋を後にした。



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