蜜色オフィス
「宮坂っ、今の態度マズいよ!」
当たり前の注意をしたのに、宮坂はなんでだかジロって目で私を見た。
なんか、怒ってるみたい。
「……仕事で待たせたから怒ってる?」
聞くと、宮坂はじっと私を見上げたまま首を振る。
「社長と何話してた? 顔赤くしてたけど」
「え……、赤かった?」
「困り顔で顔火照らせてた。
社長に言い寄られでもした?」
「社長にって……、そんなわけないじゃん。
でも、ちょっとドキドキはしたけど」
白状すると、宮坂が顔をしかめる。
メガネの奥の瞳を見て、照れくさくなりながら、もう一個白状する。
「社長の笑った顔が、ちょっとだけ宮坂に似てたんだもん」
「……俺と社長が?」
「なんか、そう感じたの。
それに……、社長の色気にあてられたっていうか……」
倒れたままの椅子を起こして、そこにストンって座りながら言う。