蜜色オフィス


「宮坂もだけど、男の人の色気ってズルいよね。
雰囲気作りがうまいっていうか……、なんか見つめられただけで逆らえなくなるっていうか……、宮坂?」


ふっと影が落ちて見上げると、立ち上がった宮坂が私を見下ろしていて。
真顔の宮坂を不思議に思って顔をしかめてると、宮坂は椅子の両方の肘掛に手をついた。

つまり、宮坂の両手と身体で、椅子に閉じ込められた状態……。


「どうかした……?」


腰を折ってる宮坂と、それを見上げる私の距離は、30センチくらい。
ドキドキしながら声をかけた私に、宮坂が言う。


「嫉妬深いって、言ってあるハズだけど」
「……うん。え、って、今の社長との事?」


まさか。
そう思って言った事だったけど……。

黙ってる宮坂を見るとどうやらアタリらしいから、慌てて言う。


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