蜜色オフィス
「だって社長がここに来たのなんて、宮坂がくる2,3分前で、本当に何も……っ」
「あんな顔赤くしてたのに?」
「だから、それは……っ」
「俺にしか見せないような顔、社長の前でしてたのに?」
そう言われて、いつかの言葉を思い出す。
『早川のそういう顔、好きだから。
顔赤くして、睨んでるんだか困ってるんだか分からないような顔』
先週、ベッドの上で言われた言葉を。
「……ごめん」
別にやましい気持ちがあったわけでもないけど。
宮坂がもし、私以外の女の子に特別な顔を見せていたらイヤだと思ったから。
素直に謝ると、宮坂の手が頬に触れた。
気持ちがトロンって溶けそうなくらい、優しい手で。
「俺の機嫌、早川が戻してくれる?」
「……うん」
じっと見上げた先にいるのは、とっくに機嫌の直ってる宮坂。
微笑んでる瞳が、私を優しく捕らえる。