蜜色オフィス
◆「俺が“被害者”だ」



「え、社長が?」


翌日の昼休み。
食堂で昨日の事を話すと、梢が驚いた声を上げた。


「うん。結局何の用かは分からないままなんだけど。
本当になんだったんだろ」
「福田のダメっぷりがついに社長まで伝わったとか」
「……」


否定はしきれないから、黙って苦笑いする。

確かに……。福田くんの学生気分は目に余るところが多々あるし。
部長がキレて、社長まで報告がいっちゃってもおかしくはないのかも。

教育係が宮坂だからまだいいけど、他の人だったらとっくにリタイアしてるし愛想だってつかしてると思う。


「えらいよね、宮坂って」


素直にそう思ったから言ったのに、梢は違う意味にとったのかニヤって笑う。


「それ、のろけ?」
「……どこが? 福田くんの教育係を降りないで頑張ってるからえらいなって思っただけでしょ」


梢は「どうかなー」なんて意味深に笑いながら、少し小さな声で続ける。


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