蜜色オフィス
「その絆創膏、キスマーク隠しなんでしょ?
しかも、更衣室で着替えてた時、身体中にあるの見ちゃったし」
「えっ」
「昨日、お泊りだったとか? もしかして宮坂のうちから出社?」
「違……っ、確かに0時過ぎちゃったから仮眠させてもらったけど、ちゃんと会社来る前に一度うちに戻って……、」
ハっとして口を押さえたけど……、ダメだ。全部話しちゃったし。
「その……、うっかりしてたら終電逃しちゃって。
だからちょっと眠らせてもらってから家に帰った感じで……」
「へー、なるほどねー。つまり夢中になりすぎたって事か。
あ、否定してもムダだから。
あんな数のキスマーク見ちゃったんだから」
釘を刺されて言葉を失う。
俯いてオムライスを口に運ぶと、首に貼ってある絆創膏に違和感を感じた。
だから、見えるところにはつけないでって言ったのに!
宮坂がこんなところにつけるからだ!
……まぁでも。
私が余裕を持って出社できたのは、朝5時には朝食を準備して、私を起こして、挙句、車でアパートまで送ってくれた宮坂のおかげなんだけど。
そう考えると、文句ばかり言ってられない。