蜜色オフィス


宮坂様様で、準備に時間をかけられた朝。
絆創膏だけじゃ目立つ気がしたから、久しぶりに髪を巻いて、二重にカモフラージュしてきたのに。

ふわふわにさせて隠したつもりだったけど、それも鋭い梢の目にはムダだったみたいだ。

髪を巻いたのは、初めて宮坂の部屋に泊まった時以来。
あの時、宮坂がストレートの方がいいって言って、それからは、なんとなく髪を巻かなくなってた。

それは本当に“なんとなく”だった。
けど、宮坂が、ストレートの方がいいって言ったのがきっかけなのは間違いなくて。
なんで?って、理由を追求すれば……、宮坂がそう言ったからで。

つまり……、本当に今さらなんだけど、私はあの頃から宮坂を少し意識してたって事になって。

でも……、自分の気持ちで思い当たる部分は多々ある気がした。

ただ、沖田さんとの関係だとか、宮坂が恋愛に興味があるわけない、だとか。
色んな感情が、それを隠していただけで。

……それにしたって、どれだけ鈍感だったんだろ、私。

まさか、自分の気持ちにすら気付けないなんて。


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