蜜色オフィス


梢に言わせれば、宮坂の態度は入社直後から私にだけ特別だったらしいし。
それに私がちゃんと気付けていれば、寄り道しないで宮坂の隣にいけたのかな。

寄り道……。
例えば、沖田さんとの事、みたいな。

なんて、本当に今さらの話でしかないんだけど。

昨日みたいな時間を過ごすと、その時間を知らずにここまできた自分がもったいなく感じる。

どんなに一緒にいても物足りなかったり。
触れただけで、幸せに感じたり。
宮坂が笑ってくれるだけで気持ちが満たされたり。

そういう気持ちを、知る事ができたから。


「でもさ、大丈夫?」


宮坂の事を思い浮かべながらひとりで温かい気持ちになってると、梢が言う。


「なにが?」


頭の中の状態を聞いてるなら、大丈夫じゃないと思うけど。
完全にボケて、お花畑状態だし。

そんな事を考えてたけど、梢が続けたのは、意外にも真面目な質問だった。




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