蜜色オフィス


「芽衣、流されやすいじゃん。押し切られやすいっていうか。
学生の時に付き合ったりしてた人もそういう感じで始まった人がほとんどでしょ?」
「あー……、うん」
「今回も流されてるだけじゃないかなって思って。
告白っていうか、仕掛けてきたのは宮坂なわけじゃん」


梢の心配は、もっともだと思う。
私は本当に流されやすいし、断わりベタだから。

付き合うとかそういう事もだけど、飲み会とかの誘いすら断われない。
この会社を選んだのだって、短大の先生に押されたから。

だから、今回の宮坂との事も、そう思われたって当たり前だ。
……けど。


「大丈夫。
のろけたいって思えるのも、触って欲しいって思えるのも、今回が初めてだから」


いつも、なんとなく付き合ってるだけだった。
私の事を好きでいてくれてるんだし、それだけで幸せなんだって、そう思って。
キスとかエッチに苦手意識を持ちながらも、私が変なんだって、そう言い聞かせて。

けど、自分の気持ちにはいつまで経っても自信が持てなくて、誰に対しても彼氏の話をしたいと思えなかった。

どこか、後ろめたくて。


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