蜜色オフィス
「そんなに俺が信じられないなら、本人に確認してみれば?」
黙り込んでいた私を見かねてか、沖田さんが言う。
本人に確認、なんて……。
私がそんな事できないのを分かってて言ってるのが顔を見て分かった。
沖田さんが挑発するみたいに笑ってたから。
「できません」
睨みながら言うと、沖田さんはバカにするみたいに笑う。
「事実だったらアイツを傷つけるかもしれないから?」
「……分かってるくせに」
「よーく分かってるよ。アイツからしたら、周りに知られたくない事実だって事ぐらい。
芽衣には特に、かな」
「……」
「会社の人間に知られたら、社内での居心地も悪くなるだろうし。
……まぁ、そんな事は芽衣にも分かってるだろうけど」
「沖田さんが言ってた話って……、まさかまた脅しですか?
そんな事に割く時間があるなんて、第一営業課ってずいぶん暇なんですね」