蜜色オフィス
じっと見ていると、沖田さんの表情が少し険しくなったのが分かった。
そんな感情を隠すみたいに、沖田さんはさっきまでの笑みを消して無愛想に答える。
「別に。ただ単に気に入らないだけ」
「気に入らないから、宮坂の弱味を握って陰で脅そうって事ですか。
万が一、その話が本当だったとしても、宮坂は何も悪くない。
それを脅しの材料に使うなんて、卑怯にもほどがあります」
だんだんと、怒りが湧いてくる。
宮坂をバカにしたような沖田さんの態度が、どうしても許せなかった。
浮気されたって、私に近づいたのが利用目的だったって知った時だって、ここまで怒らなかったのに。
宮坂を苦しめるのだけが、許せなかった。
「宮坂は……、沖田さんに嫌がらせされながらも、必死に仕事してるじゃないですか。
一課がどんなに偉いかは知らないけど、一課の人たちにも負けないくらいの仕事を、宮坂はしてます。
所属している課なんて関係なしに勝負したら、笑い者になるのは沖田さんの方です」
「……黙れ」
沖田さんの顔がどんどん険しくなっていくのは見て気付いてた。
けど……、止められなかった。