蜜色オフィス


「黙れって言っただろ」
「……じゃあ、宮坂の仕事を邪魔するような事しないで」


殴られた頬が、熱い。
口の中が血の匂いがした。


「私を騙した事なんて、悪いと思わなくてもいいから。
宮坂の事、これ以上苦しめないで……」


少しの沈黙の後、沖田さんがふっと笑った。
そして。


「だったら簡単だよ。二択から、芽衣が好きな方を選べばいい」


見つめている先で、沖田さんが薄笑いを浮かべる。


「安心していいよ。
こないだみたいに俺と寝ろなんて言わないから。
芽衣の意志の固さはこないだの事で分かったしね。
あんまり泣かれたりしたら、俺だってさすがに気が引けるし。
違う選択肢を選んでもらう事にした」
「……なんですか?」
「アイツを、社内で指をさされる存在にするのか……、別れるか。
芽衣が選んでいいよ」


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