蜜色オフィス
自分が騙されただけならいい。
利用されただけならいい。
けど……。
私の優柔不断な決断のせいで、宮坂まで巻き込むなんて……。
「芽衣が言うように、アイツが仕事を必死にやってるなら……。
恋愛沙汰で社内の評判が落ちるなんて、不本意だろうな」
「―――……」
グっと言葉を呑む。
悔しくて悔しくて、歯を食いしばった。
私がバカだったんだ……。
私のせいで……っ。
「別れるって言ったら……、宮坂の仕事を、今後一切邪魔しないって約束してくれますか?
宮坂の家庭の事情も、宮坂の不利になるような事も……、絶対に口外しないって」
「もちろん。芽衣に別れを切り出されるだけで、アイツにとっては痛手だろうからね」
しばらく俯いたまま考えて……、顔を上げた。
「答えが出たみたいだね」
私と目を合わせた沖田さんが、満足そうに笑った。