蜜色オフィス


「ちょっと休ませてもらってから、薬もらってくる」
「それがいいよ。
宮坂にも適当に誤魔化しておくから心配しないで」
「ありがと」


梢に笑顔を返してから食堂を出る。
食堂のある6Fから、医務室のある1Fに降りるためにエレベーターホールに行くと、ちょうど着いたところだった。

ボタンを押して、中に乗り込む。
1Fを押して、動いていく数字をぼんやり見つめた。


もし……、沖田さんの望むとおり私が宮坂と別れたとして。
本当に沖田さんは宮坂への嫌がらせをやめるのかな。

一応、今後、宮坂に不利になるような事はしないって条件ではあるけど……。

今までの沖田さんの態度を見る限り、信用できない。
私が別れを告げた後で、やっぱり宮坂の悪い噂を流したりするのかもしれない。

ううん。きっとそうする。
宮坂と別れようと、付き合い続けようと、沖田さんは同じ事をすると思う。


でも……。
別れなかったら、確実に……。



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