蜜色オフィス


「ってことで、医務室に行ってくるから。
部長には梢が言っておいてくれるみたいだし、全然たいした事ないから、ちょっと休んだらすぐ戻るね」


一気に言ってから、笑顔を作って宮坂を見上げる。
一瞬だけ目を合わせて、急いで宮坂の隣をすり抜けようとしたのに。

ぐって腕を掴んだ宮坂に止められた。

なにか、バレた……?

そんな考えが浮かんで、恐る恐る振り返る。
ゆっくりと視線を上げると真顔の宮坂がいて、またしても胸がギクリって音をたてた。


「な、なに?」
「一緒に行くよ」
「大丈夫だよ。本当にたいした事ない……、宮坂、ちょっと」


掴まれた腕をぐいぐい引っ張られて、引きずられる。
ちょっと足を踏ん張って抵抗してみたけど……、諦めて歩く事にした。

私が抵抗すればするほどおかしな状況になって、人目を引く事になりそうだったから。



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