蜜色オフィス


恥ずかしくなって顔を赤くした私を見て微笑んだ後、「ここで待ってて」って言った宮坂が、警備室の小窓をコンコンってノックした。


医務室、なんて名前はついてるけど、そこに医者だとか保健医が常駐してるわけじゃない。
ベッドが3つと、市販薬、応急処置できるような包帯だとかがあるだけ。

つまり、薬だとかベッドだとか、自分の判断で使うわけなんだけど……。

医務室の鍵が警備室から借りるシステムになってるのは、以前、医務室を用途意外の使用をした人がいるかららしい。
サボるにしたらうってつけだし、社内恋愛してる人たちの逢引場所になってもおかしくない気もするけど。

使用は自由だけど、用途は自由じゃない。
そんな事を分かりながらも守れない人が結構多いらしい。


しかし、先月もお世話になったのに、また医務室にくるなんて……、って、あれ?

『前、貧血で倒れた時、医務室でもぐっすり寝てただろ』って、言ってたけど。
なんで宮坂がそんな事知ってるんだろう。

医務室に運んでくれたのは沖田さんなのに。


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