蜜色オフィス
「誰彼かまわずに信じすぎるって、前言ったの覚えてるよな?
騙されやすいにもほどがある」
冷たい視線と想像通りの言葉を向けられて、返す言葉もなかった。
沖田さんとの事をどうにかしたいからって必死だったけど……、こんなの、なんの解決にもならない。
あんな石買ったところでどうにかなるなんて……。
今、冷静になって考えてみれば、宮坂の言うとおり、バカみたいだ。
「ごめんなさい……」
一瞬でも、あのブレスレットをつければ宮坂と別れずにすむかもしれない、なんて思った自分を反省する。
でも、わらにもすがりたい気持ちは、今でも変わらないんだけど。
だって……、別れるしかないって諦めるには、まだ決心がつかなくて。
ムダなあがきだって事は、頭のどこかでは分かってるけど……。
こういう態度は、沖田さんを喜ばせるだけだって分かってるけど。
私は、そこまで気持ちを隠せないし、我慢できない。
ただ黙って宮坂のためを想って大人しく身を引くなんて……、そんなできた女じゃないから。
悪あがきでもなんでも。
最後まで、諦めたくない。