蜜色オフィス
「送るよ」
「え……」
思わず声がもれたのは、宮坂が言った言葉が意外だったから。
まだ19時半だし、明日は日曜なのに、もう帰るの?
もしかして、何か不機嫌にさせるような事しちゃったとか……?
不安に思って見上げていると、宮坂が私のおでこに触れた。
「熱があるって、自分で分からなかった?」
「熱? うそ、だって全然普通だし、デザートバイキングだってあんなに食べられたのに」
「あるよ。早川はいつも自分の体調に鈍感だから気付かないだけだろ。
俺が手で触って分かるくらいだから、結構ある」
「でも、そんな感じは全然しないし、」
「とりあえず帰ろう。
反論は、早川の家で体温を測った後聞くから」
ホテルからすぐ近くの駐車場に止めてあった宮坂の車。
強引な宮坂に少し不貞腐れながら、車に乗り込んだ。