蜜色オフィス
「何度だった?」
ピピピって電子音が鳴るなり聞かれて、服の中から取り出した体温計を確認する。
熱なんて、絶対宮坂の勘違いだって思ってたけど……。
どうやら、間違っていたのは私の方らしい。
体温計は、ここ数年間見た覚えのないような数値を示していた。
「……38.4℃」
「だから言っただろ」
「……すみません」
「大体、そんなにあってなんで普通でいられるんだよ」
「だって……、本当に気付かなかったんだもん」
ここ数日、色々考えすぎて頭は常にショート状態だったし、体調だってよくなかった。
今日は宮坂の手がやけに冷たく感じたり、歩いていて目の前がフラフラしたりしたけど……。
今考えてみれば、熱のせいで本当にフラフラしてたのかも。
精神的な事からくる体調不良だって思い込んでたけど……。
宮坂や梢に指摘されるくらい顔色が悪かったりしたんだから、もっと気にするべきだったのかもしれない。