蜜色オフィス
「ねぇ、なんであんな大きなベッドとか、こんな高級車を譲ってもらえるの?
ベッドも古い感じなんてしなかったし、この車だって、そんなに使ってないんじゃない?」
運転席の前にあるメーターやらを眺めていると、走行距離が20,000キロにも達していないのが見えた。
一度リセットしたのかな……。
答えを待ちながらキョロキョロと目を動かすと、色んな場所に見た事のないようなボタンがあって……、大人しく視線を前の車にロックした。
なんか、怖い。
こんな車に乗ってる自分が怖い。
なにかしくじったりしたら絶対怒られると思って、ぴしって姿勢を正す。
それでも返事をしない宮坂が気になって、隣を見た時。
やっと宮坂が口を開いた。
「早川が髪ストレートにしてるの久しぶりに見た。
パーマじゃなかったんだ」
だけど、返ってきたのはまったく脈絡のない言葉。
……聞こえなかったとか?
こんな静かな走行音なのに?
無視?