蜜色オフィス

「いつから知ってたの……？」


受け取りながら、もう一度聞く。
二度目の問いに、宮坂は私の隣に座りながらようやく答えた。


「何か隠してるって気付いたのは、先週医務室に行った時だけど、それが何なのかがハッキリ分かったのは昨日。
夜かかってきた電話で初めて知った」
「電話？」


そういえば、鳴ってた気がする。

切ってって宮坂にお願いした電話……。
あれは、誰からの着信だったんだろう。


「ディスプレイに沖田ってあったから、嫌な予感がして出たんだ。
って言っても、留守電に繋がったから、向こうが一方的にしゃべったのを聞いてただけだけど」
「……沖田さん、なんて？」
「"期限を言わなかったけど、いつまでも待つつもりはない。
あいつのためを思うなら、早く別れた方がいい。そうしないと、いつ自分が口をすべらせるか分からない"
言葉は違うけど、そんなような内容だったよ」


そこまで言った宮坂が私を見る。
そして、不可解そうに顔をしかめた。