蜜色オフィス


「とりあえず、早川が何かしらで脅されて俺との別れを強要されてるまでは理解できたけど……。
何の弱味を握られてるのかがまだ分からない。
"あいつのためを思うなら"って言うくらいだから、俺の事なのは確かだけど」
「それは……、」


どうしよう……。なんて答えればいいんだろう。

宮坂が浮気相手の子どもだって私が知ってるって分かったら、宮坂は嫌な思いをする。
けど、ここまでバレてるのに隠すなんて……。

無理だ。
こんな瞬時に、そんな巧妙な嘘が思いつくハズがない。

ぎゅって目を瞑って考えた後、ゆっくりと宮坂と目を合わせた。
背中側にある窓から注ぐ朝日が、宮坂を後ろから照らす。


「別れないと……、宮坂が社長の愛人の子どもだって会社にバラすって。
私との事も、宮坂が沖田さんから寝取ったって、そういう噂流すって言うから……っ」


宮坂が、また少し顔をしかめる。


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