蜜色オフィス
「沖田さんが社長の子どもだって事もすぐに公表されるし、いずれは社長になる予定もあるから、みんな沖田さんを信じるって……。
そんな脅しになんか乗りたくないし、沖田さんの思い通りになるのは悔しいけど……。
どうしても、宮坂を会社で後ろ指さされる存在にはしたくなかったから……、だから、」
そこまで言った私を、宮坂が片手を上げて止める。
何かと思って見ていると、眉をひそめた宮坂が聞く。
「いずれは社長になるとか、沖田が言ったのか?」
「え、うん」
「……へぇ。随分楽観的っていうか、立場に甘えた考え方だな。
まぁ、相変わらずだけど」
「沖田さんの考え方なんかをそんなノンキに分析してる場合じゃないよっ。
今まで一生懸命仕事してきたのに、沖田さんのせいで全部壊れちゃうんだよ?
そんなの許せないよ! だからっ、」
「早川」
必死になって説明していた私を、宮坂が止める。
黙ると、宮坂は優しく微笑んで私を見た。
「全部、説明するよ」
「え、何を……?」
聞き返した私に、宮坂は落ち着いた声で話し出した。