蜜色オフィス
社長が営業課にくるって聞いたのは、朝の朝礼で。
成績がよかったりすると、激励だとかしには来たりするけど、そういう関係は大体が月末だった。
なのに、月初めの今日来るなんて……。
沖田さんの事を公表するためなんじゃないかって不安がよぎる。
宮坂はこんな日に限って、夕方までいないし。
社員それぞれの名前が書いてあるホワイトボードに目を移す。
宮坂って書かれた隣には、「夕方に戻る」の文字。
営業の人は、たいてい夕方戻るから、普段なら書き込まないのに珍しい。
普段と違う営業内容なら、行き先を書きそうなもんだし。どこに行ったんだろう。
まぁ、宮坂の事だから、心配しないけど。
いないとすぐにサボり疑惑が湧く福田くんと違って。
「とりあえず、今日だけは行ってきてあげる。けど、次は知らないからね。
今まで失ってきた信用取り戻すように頑張って、医務室出入り禁止を解除してもらって、自分で行くように」
立ち上がりながら言うと、「今日の社長の話が、福田を切る話じゃなかったらね」って梢が付け足す。
福田くんもさすがに気になるのか、それとも本当に頭痛がひどいのか。
いつもなら考えられないくらい元気なく、「はい」って返事をした。