蜜色オフィス
「社員さんの中にひとりだけ医務室の合鍵を持ってる人がいてねぇ。
いや、こっちとしても無断使用を避けるためにルールができたわけだし、鍵持たれて勝手に使われても困るんだけど……。
どうも、社長と関係する人らしくて」
「……そうなんですか」
まぁ、沖田さんならやりそうな事だ。
女性社員でも連れ込んでるのかな。……なんか、気持ち悪い。
沖田さんがそういう事を医務室で、って事も気持ち悪いけど……。
沖田さんの事を考えると、気分が悪いっていうか、気持ちが沈む。
会ったら、宮坂との事を聞かれるに決まってる。
宮坂は、昨日から「大丈夫だから」の一点張りだけど……、どう考えたって大丈夫じゃないのに。
かと言って、宮坂が何の根拠もなしに、適当に「大丈夫」って返事をしてるとも思えない。
宮坂は、どうするつもりなんだろう。
そういえば……、昨日の話がまだ途中のままだ。
沖田さんが宮坂に執着する理由をまだ聞いてなかった。