蜜色オフィス
普通だったら断わってたけど、優しい手とキスが、気になってたから。
でも、あれは……。
「沖田さんじゃなかったんだ……」
頭を撫でられて、私はその手に誘われるみたいに、もう一度深い眠りについた。
沖田さんがいたのは、私が次に目が覚めた時の事。
どれくらい寝ていたのかは分からないけど、私が出て行く少し前に入ってきた沖田さんには、不可能だ。
「宮坂だったんだ」
運んでくれたのも、頭を撫でてくれたのも、キスも。優しい言葉も。
全部、全部……。
宮坂がしてくれた事だったんだ。
満たされた気持ちをくれたのは。
運命、なんて言葉を思い浮かべちゃうくらいの直感を感じたのは。
“私は、この人を好きになる”
そう思った相手は……、全部、全部。宮坂だったんだ。