蜜色オフィス


「笹川専務、確かにひいきとかすごかったらしいもんね。セクハラも結構あったみたいだし。
食事に誘われて断わったら、次の日から残業ばっかりさせられたとか、話聞いた事あるよ」
「……そうなんだ」
「うちの部署にはあまり顔出さないけど、庶務の女子社員は結構ひどい目遭ったりしてるみたい」


隣にいた梢とヒソヒソ会話する。

気に入らないと嫌がらせするとか、どこかで聞いた話だ。
沖田さんが社長の子どもでさえなければ、同じ目に遭わせる事だってできたのかもしれないのに……。

でも……。
笹川専務にそこまでした処分を下せる社長が、沖田さんを野放しにするどころか自分の跡を継がせるって……、なんか納得ができない。

そもそも、宮坂から聞いた話では、社長はきちんとしていて、仕事もできる人だ。

仕事に私情を持ち込むなんて、考えられないけど……。

チラって見ると、沖田さんは面白くなさそうに目を伏せて眉をしかめてた。


< 269 / 302 >

この作品をシェア

pagetop