蜜色オフィス
「その、笹川の後任を選出する過程で、営業部の中でも移動者が出る事になった。
今までは第一第二、それぞれの課長に仕事を回してもらっていたが、新たに営業部全体を取り仕切る部長の椅子を設け、今月から新体制を組む事にした」
新体制。
その言葉を聞いた社員が、小さくざわめく。
「そして、その部長を、今まで第二営業課の課長をしていた三井にお願いする事にした」
「えっ、三井課長……、じゃなかった! 部長! すごい出世じゃないですか!」
大きな声で言ったのは……、福田くん。
話が自分の事じゃないって確信したからか、すっかり元通りの元気を取り戻してるみたいだった。
「福田! おまえは、本当に……。場をわきまえろ」
「まぁ、今日ぐらいいいだろう。営業部のみんなが頑張ってくれたおかげでもあるんだ」
怒ろうとした三井部長を、社長が止める。