蜜色オフィス
「おめでとうございます! 課長……、じゃなかった。部長!」
いつもならゲンコツをくらう福田くんも、今日ばかりは許されて、社長も笑顔でその様子を見ていた。
そして、笑顔のまま話を続ける。
「そして、課長の後任として、宮坂を選ばせてもらった」
「え……っ」って声が、そこら中から上がったけど……、私は驚きすぎて声も出せずにいた。
みんなの声にならない驚きや疑問に、社長が答える。
「宮坂はまだ26才、課長としては異例の若さで、驚くのも無理はない。だが、今までの営業実績や業務態度を見ている者なら、そこまで疑問も湧かないだろう。
新入社員の教育をしながら、上半期の二課での個人成績はトップ。一課を加えても、上位だった。
取引先からの信用も厚い」
「私からも推薦させてもらったんだ。
自分の後任を任せるなら、営業部を知らない人間よりも、業務内容を熟知している課内の人間から選出したかった。
そして、第二営業課の中から選ぶとなった時、宮坂の名前が浮かんだ」