蜜色オフィス
「ごめん。話さなくて。一応、発表になるまでは口外禁止だったから」
社長が部屋を後にしたオフィス内では、三井部長と篠田さんを取り囲んでのインタビューが始まっていた。
資料を丸めたものをマイク代わりに握ってるのは、営業のひとり。
福田くんも全力で加わってるせいか、かなり盛り上がってるみたいだった。
本当に頭痛がひどかったのかなって疑問も湧くけど、そのおかげでこうして宮坂と話ができてるんだから、感謝しなくちゃ。
誰も席に戻らないから座ってるのも不自然かと思って、壁際に寄っての立ち話。
関係を怪しまれない程度の距離をとりながら、隣に立つ宮坂を見上げた。
「いいよ、そんなの。それよりすごいね。おめでとう」
「柄じゃないけどね」