蜜色オフィス
「あ、はい……。
最初は……、自分は社長の息子だから、その……、関係を持たないと社長に言って宮坂さんをクビにするって。
その後は、宮坂さんは社長と愛人との子どもだって言われて、それを広められたら宮坂さんが会社での立場をなくすっていうような事でした。
近いうちに、自分が社長の息子だって事が公表になるから、そうなれば、社員はみんな沖田さんの言う事を信じるって」
それを聞いた社長は、しばらく黙っていた。
その後、はーって深いため息をついて、デスクの方に視線を向ける。
なんだろうと思って私もその先を追って……、驚いた。
「沖田、さん……」
入ってきたドアからは、社長椅子が背中を向けるようになってた。
だから、椅子の高い背もたれに隠れて見えなかったけど……。
社長のデスクの椅子に、沖田さんが座っていた。
顔をしかめた、沖田さんが。