蜜色オフィス


「別にバカにしてるわけじゃないよ。
それだって立派な仕事だし、早川の営業スマイルは外部の人間にも好印象だし。
そのおかげで営業がスムーズに進む事もあるくらいだし、むしろ尊敬してるし」
「……ありがと」


返ってきたのは、思いがけない褒め言葉。
どんな顔をしていいんだか分からなくなりながら、尖らせた口はそのままにお礼を言う。

ハプニングで宮坂の部屋に泊まってから一週間。

宮坂の態度は、今までの二年間とまったく変わらない。
まるであの事なんてなかったみたいだ。
変な噂が立っても困るから、そこは、今回ばかりは寡黙な一人狼に感謝。

……だけど。

あの日以来、変に宮坂を意識しちゃって、こっそりドキドキしてる私がバカみたいに思えて、実はちょっと気に入らなかったりもするけど。


「で、昼休みに誰もいなくなったオフィスで何に頭を悩ませてたわけ?」


まだ私を捕らえたままでいる宮坂の瞳に、気まずくなって目を逸らす。

宮坂は、話している時はこれでもかってほど目を見てくるから、最終的にはいつもこっちが恥ずかしくなって目を逸らす事になる。

今回のは、話題が話題なだけに尚更。



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