蜜色オフィス
「公表するとしたら、私は拓海の事も千明の事も、一緒に公表するつもりだ。
もちろん、母親が違うって事が知れ渡れば私の信用問題になるのは承知の上だ。
でも、拓海と千明に差をつける事は、私にはできない」
「……それがなんで俺のためなんだよ」
「ふたりが私の子どもだと公表された時、おまえと千明は同じ舞台の上に立たされる。
仕事の内容、業務態度、人柄……。色々比べられるだろう。
その時嫌な思いをするのは……、今のところは、おまえだろう?」
……確かに。
同じ社長の息子なのにって目で周りは見る事になるだろうし。
そうなった時、今のままじゃ……、沖田さんが可哀想すぎるかもしれない。
私はかなりひいき目だけど、宮坂が全勝だ。
「まだ私も元気だし、時間はある。
時期がきて、公表する時、恥ずかしい思いをしないよう、気持ちを新たに頑張りなさい。
おまえは、私の子だ。できないわけがない。その椅子に座りたかったら、実力でのし上がって来い。
私はそれを気長に待つつもりだ」