蜜色オフィス


その後も「本当に?」って言葉を5回くらい言って、宮坂は困り顔で笑いながらも「本当に」って答えてくれて。

それでもまた「本当の本当に?」って聞いたところで、腕をぐいって引っ張られて強制的に立ち上がらされた。


「社長、話が終わったなら、俺たちはこれで」
「ああ。早川さん、本当にすまなかったね。
これからも公私ともに千明をよろしく頼むよ」
「は、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
「拓海の事も、もし同じ仕事をするような場面があったら、申し訳ないけど手助けしてやって欲しい」
「……はい。私にできる事なら、喜んで」


私が返事をしている途中なのに、宮坂は腕をぐいぐい引っ張ってドアに向かう。半ば引きずられるようにして歩いている途中、一瞬だけ沖田さんを見た。


不貞腐れたような顔が、なんだか今までとは違って見えた気がした。




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