蜜色オフィス


「うん。自分は必要ないんじゃないかとか拗ねてたけど、その拗ね方が子供みたいだったから。
社長はいつの間にか宮坂のお母さんと夫婦みたいな仲になってて、宮坂も生まれてて……。
社長が沖田さんの事をおろそかに考えてたわけじゃないだろうけど、沖田さん、寂しかったのかなって」
「……そんな柄じゃないと思うけど」
「そういえば、宮坂に執着する理由、想像がつくって言ってたけど……、同じ立場だからって事?」


ずっと気になっていた事を聞くと、宮坂は少し黙った後、小さく首を振った。


「それもあるけど……、今回の件は早川の態度を見て思い出したんだと思う」
「思い出した? 何を?」
「再婚相手と沖田が合わなかったってさっき社長が言ってたのは覚えてるだろ?」
「うん」
「度々ケンカになっても、母親は一度として沖田の見方にはなってくれなかったらしい。
母親は何度も、沖田の前目の前で再婚相手を選んだ。
早川が沖田の前で俺のために怒った時、その姿が母親と重なったんじゃないかって。
沖田、取られる事がトラウマになってそうな節があるから」


「まぁ、俺の推測だけど」って付け足しながら、宮坂が目を伏せる。



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