蜜色オフィス


「いいよ。どうせ今日はこのまま飲み会になるんだろうから」
「あ、そっか。宮坂と三井部長の昇進祝いしなきゃだもんね! 
あと、三井部長と篠田さんの結婚も」
「どうせ福田あたりが中心になって店探しをやってるだろうし、後30分もしてから戻れば誰もいないだろ」
「え、でも、宮坂主役でしょ? いないとマズいよ」
「社長に呼び出されたまま帰れないってしておけば問題ない」


胸ポケットからケータイを取り出した宮坂が、どこかに電話をかける。
少し待つと、私にも聞こえるような、梢の明るい声が聞こえた。


『はい。第二営業課、西岡です』
「宮坂だけど、社長との話が長引きそうだから、みんなに先に行くように言っておいて欲しい。
飲み会、やるんだろ?」
『あー、うん。福田が電話で予約してたし、定時のチャイムで半分くらいの人が飛び出して行っちゃったよ。
飲めるなら名目はなんでもいいんだろうねー』



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