蜜色オフィス
「今までだって、早川が気付かなかっただけでいつも隣にいたけど」
「……意地悪いよ。課長」
不貞腐れて見せると、今度は柔らかく微笑んだ宮坂が、私の耳にささやいた。
「傍にいるよ。……ずっと」
宮坂の肩越しに見える、窓から差し込む夕日。
その光が、涙が浮かんだ瞳のせいでキラキラと輝いて見えた。
入社して三年。
仕事に向き合えたのも、笑っていられたのも。
宮坂が、助けてくれてたから。
知らないところで、守ってくれていたから。
「今日、夕飯食べに行く?」
「あ、うん。宮坂の昇進祝いしないとだしね」
「それはどうでもいいけど」
「なんで? しようよ。ふたりきりなら祝ってもいいでしょ?」