蜜色オフィス
そんな考えに辿り着いた時、廊下から話し声が聞こえてきた。
それに気付いた宮坂の手がゆっくり離れてから、慌てて宮坂から離れる。
時計が指すのは12時50分。
もうすぐ昼休みが終わる時間だ。
何も言えずに立ってると、立ち上がった宮坂が倒れた椅子を元に戻してくれた。
「あ、ありがと……」
「別に。俺が倒したんだし」
「あの……、一週間前、本当に私、宮坂と―――……、」
「―――今週の金曜日だったら、付き合えるけど」
「え?」
何の脈絡もない事を言われてキョトンとしてると、椅子に座りなおした宮坂が、眼鏡をかけながら言う。
「彼氏のあとをつけたいんだろ?
ひとりで不安だって言うなら、金曜日だったら付き合えるって言っただけ」
「え、あ……、付き合ってくれるの?
……ありがとう」
驚きながら言うと、宮坂は私を少し見た後「別に」って呟くように言って、パソコンに向かった。