蜜色オフィス
「高学歴で外見もいいし、仕事だって会社の中心的役割を担ってる第一営業課。
そんな沖田さんを、周りの女子社員が放っとかないんじゃないですか?」
コーヒーを入れながら言った梢の言葉の真意は、“さぐり”。
直接、井上さんとの事を聞くっていうのはやっぱり失礼だから、遠まわしに言ったんだと思う。
沖田さんは、年齢的にも入社時期的にも先輩にあたるから。
「はは。そうでもないよ」
爽やかな笑顔は、社内でも大評判。
私は……、浮気疑惑が浮上した頃から、この笑顔を見るのが苦手になっちゃったんだけど。
なんとなくだけど、嘘っぽく思えてきちゃって。
「第一営業課にはキレイな女子社員がそろってますよね。
やっぱり周りがキレイな子ばかりだと仕事もやりがいがありますか?」
「サブにだってキレイな子はいると思うよ。
キミ達みたいな子は、ぜひうちに異動になって欲しいよ」
「秘書課の人にもこの間そう言ってたの、聞きましたよ。
あ、コーヒー置いておきますね。
私頼まれてる仕事があるので失礼します」