蜜色オフィス


部屋の入口を見ると、資料を片手に持った宮坂が立っていた。

こんな状況を見たら、私だったら絶対に動揺しちゃうけど。
ごめんなさい何も見ていません!って回れ右状態だけど。

宮坂は至っていつも通りに見えた。

少し冷たくも見える瞳で私と沖田さんを見て、用件を告げる。


「第一会議室にコーヒーひとつ持ってきて欲しいんだけど。
今日の会議は社長も出るみたいだから」
「え、あ、うん。分かった!」


宮坂の言葉に助けられて、なんとか沖田さんから逃げる。
コーヒーを用意してる間に、沖田さんが出て行ったのが気配で分かった。

助かった……。

コーヒーの香りに包まれながらほっとため息をついてると、後ろから伸びてきた手が、入れたてのコーヒーが入ったカップを取った。

見ると、宮坂がそれを口につけたところで……。



< 55 / 302 >

この作品をシェア

pagetop