蜜色オフィス


好きになるどころか、平行線のまま。
……ううん。もっとひどいかも。

沖田さんと過ごした時間なんて、そんなにないけど……、私の中での印象はどんどん悪くなる一方。
早急に関係を持ちたがる沖田さんもどうかと思うけど、私も多分よくないんだ。

自分から歩み寄ろうとしていないんだから。


「こんなに悩むなら、最初からきちんと断わるべきだったんだよね。
お試し期間なんて言われて、戸惑ってる間に押し切られちゃったりして……、沖田さんにも悪い事しちゃった」


昨日から、なんでこんなに宮坂相手にペラペラしゃべっちゃうのか、よく分からないけど。


「好きになる努力もしてないんだから、それで浮気されても文句なんか言えないのにね。
私の事を好きだって言ってくれた沖田さんを信じたいとか、本当は浮気なんかしてないんじゃないかとか……。
そんな風に思うのは、女のプライドなのかな」


宮坂の作る雰囲気は居心地がいい。
話しやすいし、落ち着く。




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