蜜色オフィス
顔が熱い。心臓がドキドキする。
っていうか、私、一体何のいいわけをしてるんだろ。
どんな気持ちで宮坂のキスを受け入れたかなんて、誰も聞いてないのに……。
こんなの、完全に自爆だ。
わけが分からないし、この甘酸っぱいようなじれったいような雰囲気もどうすれば分からないし。
こうなったら逃げるが勝ちかも……。
そう思って足早に逃げ出そうとした時。
宮坂が言った。
「俺も、欲求不満でキスしたわけじゃないから」
「……へ、」
「―――それと。
自分だけに発情する女だったら、淫乱でも可愛いと思うけど」
コーヒーの香りが充満する給湯室。
私が入れたコーヒーを飲みながら資料に目を通す宮坂から、なかなか目が離せなかった。