蜜色オフィス


「ねぇ、宮坂って誰かと付き合ってるとか、入社してから噂みたいなのってあったっけ?」
「えー、ないんじゃない? 聞いた覚えもないし。
っていうか宮坂って思いっきり草食じゃん。興味ないんじゃない?」


梢がオムライスを食べながら言う。
昼休みの食堂は、昼休みに入ったばかりだからか空いてる席が目立ってた。


「草食でも欲求不満になったりするのかな」
「するんじゃない? だって人間の三大欲求なわけだし。
ただ恋愛に対して消極的なだけで、淡白なわけじゃないんじゃない?」
「ふぅん……」
「あ、でも宮坂は淡白そうだけど。
性欲とかなさそう」


テーブルの上には、Aセットのメニューが並んでる。
今日のセット内容は、チーズカツレツとサラダ、ご飯が乗ってるプレートと、スープ。

ワカメの入ったコンソメスープを飲みながら、考える。

淡白……、でもなかったような。
むしろ、キスは情熱的にさえ感じたし。

こう、気持ちがこもってるっていうか……。
大事にされてるって感じるようなキスだった。



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