蜜色オフィス


「沖田さんなんか、ふっちゃえばいいじゃん。
押し切られて付き合い始めたんだから、そんなに気を使う必要ないって」
「気を使ってるわけじゃないよ。
ただ……、どの沖田さんが本当なんだろうって思うだけ。
あと、なんで私を選んだのかも、理由が分からないし」


そう。
私なんかを好きになってくれたんだから、きっといい人なんだって思ってたけど。
そもそも、接点もなにもなかったのに、なんで私?

第二営業課には、私を含めて6人の女性社員がいるけど、どうひいき目で見ても私は平均レベルだと思う。
梢の方がよっぽどキレイだし、モテるのに。


「確かに芽衣って目立つタイプじゃないもんね。
沖田さん、今まで噂になったのって派手な感じのいかにも美人!ってタイプばっかだったのに。
……なんで芽衣なんだろ」
「……他人に言われるとちょっと微妙な気分だけど。
でも、不思議だよね」


顔をしかめながらもチーズカツレツを口にくわえた時。
食堂中に響くような大声が、耳元から聞こえた。



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