蜜色オフィス


「なにが微妙なんですかー?」
「ちょ……っ、耳痛い!」


耳を押さえて振り向いた先にいたのは、同じ課の福田くん。

今年の新入社員で、私よりも2つ下の後輩。
私とか梢は短大卒で入社で、福田くんは四大を卒業してるから、年齢的には一緒だけど。


「はは、芽衣先輩いいリアクション。
ここいいですか?」


福田くんが、私の斜め前の椅子を引きながら言う。
4人掛けの四角いテーブル。
私の左斜め前に座る梢が、持っていたスプーンで福田くんを指しながら苦笑いする。


「福田さー、午前中部長にこっぴどく怒られてたでしょ。
何したの?」
「いやいやいや、あれは俺のせいじゃなくて、部長の機嫌のせいですって。
今日午後に使う資料をうっかり白黒で印刷しちゃったらすげぇ怒られちゃって。
やり直せばいいことだし、あんな怒んなくてもいいですよねー」


大盛りのカレーとミニサイズのうどんをテーブルに置いた福田くんが、それを食べながら言う。

いつも思うけど、なんでこんなに食べてるのに太らないんだろ。
内臓だけ取り替えてくれないかな。


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