蜜色オフィス



冷たい目で見てると、私と同じ目をした梢がずばり言う。


「じゃあ辞めなよ。福田が辞めても第二営業課は困らないし。
むしろ助かる」
「えー、それちょっとひどくないですか?」


一瞬、キズついちゃうんじゃないかなって心配したけど。
ヘラヘラ笑いながら答える福田くんには、そんな心配いらなかったらしい。

そんな福田くんに大きなため息をついた後、梢が続ける。


「っていうかさー、福田って芽衣狙い?
あからさまに態度が違うよね」
「あ、バレちゃいましたか。
いや、狙ってるとかじゃないんですけど、タイプだなーとは思ってます」


……なんとなく。なんとなくだけど。

福田くんはいつも気があるような態度を取るから、私自身もそうかもしれない、とは思ってたけど。

キャラがキャラなだけに、どうせ軽い気持ちなんだろうなって触れないようにしてきたのに。
梢め。


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