蜜色オフィス
「俺、どうですか? 芽衣先輩」
「福田。とりあえず、前から言ってるけど、“早川先輩”って呼びなよ。
芽衣だけ名前で呼ぶっておかしいし、変に勘ぐられたら芽衣が困るんだから」
梢に言われてるのに、それに答えるでもなく、福田くんがじっと見つめてくる。
「俺、年齢的には同じだし、顔もまぁまぁでしょ?」
この人、会社に何しにきてるんだろ。
純粋にそんな疑問が湧く。
完全に学生気分が抜けてない。
福田くんが大きな声で言ったりするから、周りのテーブルからもチラチラ視線が集まっていた。
「ね、先輩」
「えっと……、どうって言われても」
押しに弱いのは、沖田さんとの事があって自分でも十二分に分かってるけど。
福田くん相手でも、こうして積極的にこられるとどうしていいのか分からなくなる。
そんなあたしを見かねてか、梢が私と福田くんの間にスッとメニュー表を差し入れた。