蜜色オフィス
例え福田くん相手でも、ここまでバッサリ言えるのは梢くらいだと思う。
宮坂も、梢が話し出した途端、黙ってるし。
「大体ね、いくら芽衣が押しに弱いとしても、さすがに福田レベルには揺れない……、」
「なんの話だ?」
梢の席の後ろにあるドアから入ってきたのは、部長。
「あ、いえ。
資料作りを忘れた福田くんを注意していただけです」
梢の言葉に「そうか」って頷いた部長が、福田くんを見る。
「俺もちょうどその事で福田に話があったんだ。
福田、第二会議室にこい」
お説教だ。
多分、部長の言葉を聞いた全員がそう確信してたと思う。
第二会議室の別名がお仕置き部屋になったのは、福田くんが入社してきてからだって事を、福田くんはきっと知らないんだろうな。
どうやら、宮坂が連れて行かなくても、福田くんはお仕置き部屋行きらしい。
「あ、はい……」って、力なく答えた福田くんを見ると、さすがに危機感を覚えたのかもしれない。