蜜色オフィス
◇「で、これからどうする?」
「宮坂って、お人よしな部分があるよね。
お人よしっていうか、優しい部分が」
「俺は自分の責任をとっただけだ。
でも、さすがにあれだけ言われれば福田も懲りただろ。
これで学生気分が抜けてくれればいいけど」
「宮坂に散々注意されて、部長に怒られ続けて……それでよく3ヶ月も学生気分でいられたよね」
呆れて笑いながら言う。
金曜日、時間は20時。
私と宮坂は会社から2駅離れた場所にある、ホテルのロビーにいた。
ロビー部分の壁は一面ガラス張りで、道を行きかう人の姿が見える。
入口から少し離れたところに、くつろげるようなスペースがあって、テーブルがいくつか用意してある。
その一番端っこに座ったはいいけど……。
30分経っても、沖田さんが現れる気配なし。
「本当に来るのかな……」
独り言みたいに呟くと、前に座ってる宮坂が頷く。